コラム

広がりを見せるポップコーン市場

2025.11.10

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市場規模の拡大

ポップコーン市場は現在、前例のない成長を遂げています。2024年の世界市場規模約98億9,600万米ドルから、2025年には約140億6,300万米ドルに達すると予測され、平均年間成長率(CAGR)5.2%という成長が見込まれています。※1

主要統計データ:

  • 2024年市場規模: 99億米ドル
  • 2025年予測: 140億米ドル
  • 平均年間成長率(CAGR): 5.2%
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特に注目すべきは、Mordor Intelligenceによる予測では2029年までに148億9000万米ドル※2、Data Bridge Market Researchでは2032年に365億6000万米ドル※3という、より積極的な成長シナリオも存在することです。これらの差異は、市場の潜在的な爆発力を示唆しています。

日本市場の分析

市場規模と成長率

  • 日本国内のポップコーン市場規模は2022年時点で約84億円。2023年は93億円、2027年には100億円に達する見通しで、年平均成長率は3.5%前後と堅調な拡大が続くと予測されています。※4
  • 2019~2022年の3年平均成長率は1.2%、2019~2027年の長期平均成長率は2.7%と、安定した成長傾向がみられます。※4

商品別・用途別の市場構成

  • 2021年の種類別販売額構成比は、完成品(袋入りなど)が75%、豆売(業務用)が19%、ハーフメイド/その他が6%です。※4
  • 用途別では市販用が80%、業務用が20%を占め、家庭向け需要が中心です。※4

成長要因と市場トレンド

  • 映画館やレジャー施設での需要回復、健康志向の高まりによる食物繊維豊富な商品の人気、家庭内での“プチ贅沢”需要が市場拡大を牽引しています。
  • 健康志向・低カロリー・グルテンフリー・オーガニックなどの付加価値商品、ユニークなフレーバーやエコパッケージの開発が今後の成長ドライバーであると考えられます。
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世界市場との比較・グローバルトレンド

  • 世界市場では2022~2030年に年平均約5~11%の成長率が見込まれ、特に北米が最大市場。日本市場は規模こそ限定的ですが、健康志向や多様なフレーバー展開など、グローバルトレンドと同様の成長要因がみられます。※1※4

業務用市場の展開

  • 業務用市場の主な、販売先は、映画館やテーマパークなどのアミューズメント施設ですが、近年では小売・流通業態向けのオリジナル商品も増加傾向にあります。専用機械があれば手軽に製造でき、原価率が低いため、高収益な商品として注目されています。※4
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日本市場の独自性と戦略的機会

日本市場は世界市場とは異なる独自の発展パターンを示しています。特に注目すべきは「地域特化フレーバー」への関心の高さで、世界市場に比べて日本では高い人気を獲得しています。

日本市場の特徴的なトレンド

・地域特化フレーバーの成功:
信州わさび味、紀州うめかつお味など、日本独自の食材を活用したフレーバーが高い支持を獲得。

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・健康・機能性への関心:
低カロリー、低糖質、オーガニック、食物繊維強化など、ウェルネス志向が消費の決定要因に。

・体験価値の重視:
単なるスナックから「楽しむ体験」「個性の表現」へとニーズが多様化・高度化。

・オンラインチャネルの拡大:
ECサイトでのグルメポップコーン販売が成長。

この傾向は、参入を検討する企業にとって戦略指針策定に重要な要素となります。グローバル商品の単純な輸入ではなく、日本の食文化や消費者嗜好に深く根ざした商品開発が成功の鍵となるでしょう。

主要フレーバー系統の分類

伝統的なフレーバーは世界的に高い人気を誇っていますが、日本では相対的に人気が低下しています。その背景には、多様なバリエーションが登場し、消費者の嗜好が多様化したことが挙げられます。※5、※6

伝統的系統

  • バター・塩味などの定番フレーバー

甘味系統

  • キャラメル系: 定番から秘伝レシピまで多様な展開
  • フルーツ系: いちご、マンゴー、白桃、マスカット、レモンヨーグルトなど
  • チョコレート系: ショコラ、ホワイトチョコ、ティラミスなど
  • ミルク系: ストロベリーミルク、イチゴミルクなど甘酸っぱい組み合わせ

チーズ・塩味系統

  • チーズ系: ホワイトチェダー、トリュフフロマージュなど高級化が進行
  • 塩味系: フランスのイル・ド・レ島(レ島)など希少性の高い塩を使用

地域特化系統

  • 和風系: 梅昆布、うめかつお、わさび味など
  • アジア系: タンドリーチキン、明太子マヨネーズなど
  • 茶系: 抹茶、アールグレイミルクティーなど

プレミアム・複合系統

  • ミックス系: キャラメル&チーズの組み合わせ
  • 高級食材系: トリュフ、原産地名称保護バター使用など
  • 複合系: 杏仁豆腐、バジルトマトなど独創的な組み合わせ
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まとめ

ポップコーン市場は健康志向などの世界共通の成長要因もありますが、グローバルでは量的成長、日本では質的差別化が鍵となる成長機会が生まれています。特に日本市場においては、地域特化フレーバーという独自のニーズを捉えることで、世界市場とは異なる高い成長ポテンシャルを実現できる可能性があります。 成功の要諦は、単なる規模拡大ではなく、日本の生活者の嗜好と文化に深く根ざした商品開発と、体験価値を重視したマーケティング戦略の両輪による差別化にあると言えるでしょう。

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出典:
※1Global Growth Insights:ポップコーン市場の規模、シェア、トレンド2025-2033
※2Mordor Intelligence:ポップコーンの市場規模とシェア分析 -産業調査レポート -成長トレンド
※3DATA BRIDGE MARKET RESEARCH:ポップコーン市場のサイズ、範囲、シェア分析および2031年までの成長トレンド
※4富士経済「2023年 食品マーケティング便覧 No.1」加工食品 > スナック菓子 > ポップコーン PDF参考富士経済ポップコーン市場.pdf
※5POPCORN PAPA:32種類!日本一のポップコーン屋さん、ポップコーンパパ!オンラインショップ
※6小学館 HugKum:ポップコーンの作り方と味付け9選! 塩系やスイーツ系の人気の味は? | HugKum(はぐくむ)

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